トーク

発表概要
技術書の執筆とソフトウェアの開発に、大きな違いはありません。
LLMを使って自然言語でコードを書ける/読めるようになった現在では、この違いはますます小さくなっています。
約10年・6つのメジャーバージョンを経ているJavaScript入門書 jsprimer を例に、技術書のソフトウェア開発手法について紹介します。
特に次の点を中心にお話しします。
- ドキュメントとコードの自動テスト - textlintやpower-doctestなどのTypeScriptで書かれたツールでの自動テスト
- ECMAScript年次更新への追従プロセス - 言語仕様の変化に合わせた計画的な更新手法
- ドキュメントに対するDesign Doc - 文章を書く前に文章の設計をソフトウェア開発のように行う方法
- コミュニティ貢献を促す仕組み - 累計で100名以上のコントリビューターが参加するjsprimerの運営方法/Open Collectiveの設計
「TypeScriptは型を消せばJavaScript」と言われるように、TypeScriptとJavaScriptには密接な関係があります。
この発表では、TypeScriptの基盤となるJavaScriptの学習リソースがどのように持続的に更新されてきたか、その技術的な工夫をお話しします。
技術書は、ソフトウェアと同様に適切な設計・開発・運用プロセスを持つことで、長期的なメンテナンスと進化が可能になることについて、約10年間の具体的な実践例を通してお伝えします。
対象者
- TypeScript/JavaScript開発者:更新され続ける言語仕様に追従する方法について知りたい方
- 技術書籍・ドキュメント作成者:継続的に更新される技術文書の作り方を知りたい方
- OSSメンテナー:ドキュメント中心のプロジェクト運営、コントリビューター獲得に悩む方

azu
ISO/IEC JTC 1/SC 22/ECMAScript Ad Hoc委員会 エキスパートでECMAScript、JSONの仕様に関わる。2011年にJSer.infoを立ち上げ、継続的にJavaScriptの情報を発信している。ライフワークとしてオープンソースへのコントリビューションをしている。
https://jsprimer.net/